『果物籠 (Canestro di frutta)』カラヴァッジオ CARAVAGGIO・・模写作品について

今、上野で「カラヴァッジョ 」展をやっていて、私は4月上旬に上野のお花見もかねてみに行きましたが、私にとってカラヴァッジオとはとても特別な作家です。
まず最初に、高校生の頃にカラヴァッジオの作品の模写をしたこと(↓下の作品)、次はカラヴァッジオの作品(本物)を実際に見るためにイタリアへ2ヶ月間の研修旅行に行ったこと。カラヴァッジオ作品を収蔵しているイタリア中の美術館を訪問するのが目的。
旅行中はこの模写したカラヴァッジオの「果物籠」の写真を持参していました。
カラヴァッジオ作品をたくさん収蔵しているローマの美術館の人とカラヴァッジオの話題で仲良しになり、その後ずっとクリスマスなると日本へカラヴァッジオの絵葉書が届いていたことも思い出の一つ。(その方が定年退職後数年して音信は途絶えましたが) 当時はイタリア語も美大と日伊文化会館で習っていたので少しだけやり取りができたのです。
イタリア研修旅行の話しは長くなるので・・模写の話し。



模写作品:『果物籠 (Canestro di frutta)』カラヴァッジオ CARAVAGGIO
1596年頃, 31×47cm | 油彩・画布 | アンブルジアーナ絵画館(ミラノ)
模写 : 小西朝子(18歳頃制作)
Asako Konishi(Around the age of 18)a reproduction of the "Canestro di frutta, Caravaggio".
*額のガラスが周りのものをうつしこんでしまっています。


昔、私が美大に入る前、女子美術大学附属高校と美術研究所通いに明け暮れていた頃に模写した”カラヴァッジオ”の『果物籠』を、このカラヴァッジオ展をみた後に、久しぶりに出してきて眺めています。
当時、人物画は得意でしたが、静物を描く事に苦手意識があったので、勉強の為に、苦手意識を克服する為に、自主的に模写をしたのです。
このカラヴァッジオの作品には他の静物画にはないものを感じ、強く魅かれていた事もあり、分析をしながら、カラヴァッジオになったつもりで制作をしました。
この作品をみると、あの当時のこの模写にかける情熱と集中力を思い出します。
カラヴァッジオは光と影(生と死)の描写に優れていて、この静物画にも生と死の世界が描かれています。 光と影による生き生きとした表現が特徴なので、そこを理解していかに捉えられるか、が重要になります。
今みても、高校生(17-18歳頃)でこのクオリティはすごいと、我ながらさすがだなぁと、素晴らしいなぁ、と思いながら眺めています。

残念ながら今開催中(3/1~6/12)の『カラヴァッジョ CARAVAGGIO 』展・国立西洋美術館 には、この『果物籠』は来ていません。展覧会情報は以下サイトへ 
http://caravaggio.jp/

模写作品のディテール↓





背景色の黄色味がとんでしまっていますが、この写真は籠などの細かいディテールがみえます


正面下から:周りの光をガラスが反射してうつしこんでしまっているのが残念。
それと、籠の下の台のスペースがこのような額だと中に入りこんでしまうのです。
実際の模写には台のスペースがこの2倍はいっています。本物を見ればわかりますが、この台の部分は大事なのです。 
(いつか額を変えようと思いながら、今日に至る)




↓↓本物の作品

これは↓ネットからだしてきた画像ですが、やはり写真だと色味が様々になります。。
まして、今から30年前ぐらいに模写をした時には、ネットからではなく画集しかなかったので、数冊の画集の色味を比較しながら模写をしたものです。当時は本当に実物がみたかったのを思い出します。 








作品紹介文 ↓

果物籠 (Canestro di frutta) 1596年頃
31×47cm | 油彩・画布 | アンブルジアーナ絵画館(ミラノ) 

バロック絵画最大の巨匠カラヴァッジョによる静物描写の頂点を示す代表作『果物籠』。若き修行時代の頃から写実的描写力を開花させていたカラヴァッジョの恐るべき才能を存分に示す本作は、それまで幾多の画家が描いてきた瑞々しく美しい果物の描写のみならず、枯れ朽ちる葉や腐敗する果実など、醜さや下劣とされる描写まで、徹底したリアリズムを以って現実を描いている。これは若きカラヴァッジョから晩年にまで生涯貫かれる写実による現実描写の表れであり、後世に多大な影響を与えることになる画家の類稀な才能を示す最良の作例のひとつである。




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