「Le Douanier Rousseau "L'innocence archaïque"」Musée d'Orsay 「税関吏ルソー ”古風な純粋さ” 」展 オルセー美術館

オルセー美術館でアンリー・ルソーの展覧会「税関史ルソー ”古風な純粋さ” 」がはじまりましたので、早速行ってきました。(2016年3月23日)

以下はご案内から↓

『Le Douanier Rousseau. L'innocence archaïque.』
『税関吏ルソー 古風な純粋さ
』 

2016.3.22ー7.17  Musée d'Orsay  75007 Paris

”19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスで活動した画家アンリ・ルソーの創作を、 「アルカイスム」をテーマにひもとく展覧会。「アルカイスム」とは古代芸術に見られる素朴さを追求する考えを意味するもので、これはルソー作品にとって不可欠の要素である。本展は、彼の代表作とともにスーラやピカソの作品を並べて、ルソーが描いた「素朴さ」が、20世紀の近代絵画にどれほどの影響をもたらしたのかを明らかにする。”

http://www.musee-orsay.fr/

この展覧会は、オルセーの前にヴェネツィアにあるパラッツォ・ドゥッカーレで開催されたそうです。
なぜ税関吏というタイトルがついているのか、それは以下の経歴によるものです。

”西部ブルターニュ地方の小都市ラヴェルに生まれ、長年パリで税関吏として働きながら、1880年頃(36歳頃)には絵画を描き始める。1893年(49歳)、税関吏を退職し画業に専念する。 1886年(42歳)からアンデパンダン展に初出展し、当初は新聞や雑誌から稚拙だと酷評されたが、ほぼ毎年(1899年及び1900年以外)同展へと作品を出品し、1905年頃(61歳頃)から次第に評価が高まっていった。”

以前からルソーの作品は好きでしたので、まとめて見られる良い機会でした。
会場には同時代に活躍した作家(カルロ・カッラ、ピカソ等)の作品もそれぞれのテーマごとにルソーの作品と一緒に並べてあり、そういった作品によって余計にルソー作品の良さが引き立って感じられました。 
この展覧会の企画者がルソー作品をよく理解しているのを感じます。

ルソーの作品は、グラデーションが味があって生き生きとした印象を与えます。
昔の日本の浮世絵のような平面的な表現でもありながら、コントラストがしっかりしていて、見ているといつの間にかその描写に惹きこまれるのです。

作品が生かされた良い展覧会をみると嬉しくなるのですが、今回のルソー展は、質量共にとても見応えがあり、カタログもよく出来ていて、久しぶりに集中力を持ってしっかりみた展覧会でした。

ルソーについては以下サイトを参照↓

アンリ・ルソー Henri Rousseau 1844-1910 | フランス | 素朴派
http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/rousseau.html


まだまだ寒いパリですが、実から花が。春は近くです

向こうに見えるのがオルセー美術館。ルーブル美術館から歩いていけます






橋の上からみたオルセー美術館

この日はセーヌ川沿いのブキニストも閉まっていました



オルセーが駅だったことを物語る有名な時計窓

ならんでいる人達がいましたが、もちろん私はスルーです

アンリ・ルソー展の大きな案内看板


この案内板の大きさがわかると思います


オルセー美術館内 ルソー展は下のホールを中程まで行った左側から入ります

ルソー展の入口 
この作品:
夢 (Le rêve) 1910年
204.5×298.5cm | 油彩・画布 | ニューヨーク近代美術館




↓↓会場内は撮影禁止の為、知らないうちに撮ったこれだけ↓になります。



ルソーの活動履歴 年譜



最初の奥さんの肖像ではないかと言われている作品 1900-1903


グリーン色の壁がルソー作品によくあっていました(違う色の展示室もあり)
パリでは珍しく会場の写真が撮れなくて残念でした。


出口を出たところ  閉館はPM18:00です


展覧会が良かったので、画集やビデオやグッズ等たくさん買ってきました

作品を気にいって買ってきたハガキ 『フットボールをする人達』1908年 グッゲンハイム美術館蔵


夜のオルセー


この一列に並んで一輪車に乗っている人達は、パリ夜景ツアーの一群  お揃いで事故防止のベストなど身につけているので目立ちます。










ゴッホの絵のような夜のセーヌ河畔

Marché aux Puces de Vanves ヴァンヴの蚤の市

3月20日日曜日は、Vanves ヴァンヴの蚤の市へ
Marché aux Puces de Vanves マルシェ・オ・プス・ドゥ・ヴァンヴはパリの三大蚤の市の1つ。
パリ、といってもパリ郊外との境のPorte de Vanvesなのでかなり南、18区からだと北端から南端へと結構遠いのです。 95番のバスに乗って、終点まで。このあたりに来ると景色が違ってきます。
蚤の市は、ガラクタのようなものから骨董品・アンティークなものがたくさん。
何か買いたい目的を持っていくのもいいですが、なんとなく見ているうちにクリエイティブな部分が刺激されて、色々なイメージが沸いてくることもあります。 
私の場合は、作品に使えるものやインスピレーションを与えてくれるものをいつの間にか探しています。
それに、母が昔45年以上前にパリに住んでいた時に、知人の画家と毎週のように蚤の市に行き買ってきたアンティークがあふれていた家(東京)で私は育ったのです。ですので、見覚えのある懐かしいもの、親しい幼馴染みのような物に再会できる場所でもあります。

ヴァンヴの蚤の市は、ガラクタのように見えるものの中に宝物が潜んでいることがあり、そういう物を沢山の中から見つける眼があるかどうかも試されます。 
たくさんの数をみることによって、眼も鍛えられていくでしょう。
パリジャンは、子供の頃からこういうマルシェに親しんでいるのですから、物を見る眼が違うのが分かります。 
ここは、観光客もたくさん来ていますが、クリニャンクールのような常設店舗はなく、価格低めで掘り出し物に出会える可能性もあって、わくわくできます。 交渉次第でかなりまけてもらえますし、ラフな感じが気にいっています。
朝が早いのもありいつも最初は調子がでないのですが、だんだん見ていると集中力がでてきて、自分用、お土産用、と掘り出しものが必ず1つは見つかるのです。
蚤の市での物との出会いは一期一会、次回行ったら同じ物があるわけではなく、即断即決。そういうところもいいですね。

Photos : Marché aux Puces de Vanves.

朝9:00〜13:00ぐらいまでの午前中だけマルシェがでます





向こうのキャニスター、同じようなのを前回買ったのですが、それでも色や種類が色々あるので気になります

本やレコードなどもたくさん











良いサビ具合 


あの人形、なかなか良い顔してます ミニチュアの売り場は男性のファンが多い





古い昔の写真をアルバムごと売っています






昔のホーロー鍋も色々





重いアイロン、昔家にあったのを憶い出します もちろん母がパリで買ってきたアンティークで、本の支えや文鎮などにしていました。

これが欲しかったのですが、金額が折り合わず断念


レコードをまげて器にした面白い品。水っぽいもの以外は置けます。大・中・小と、曲と色を選んで購入。この他にもプティシェーズ(小椅子)3個、にポルト・クトー(ナイフ置き)など、以前から欲しいと思っていたものが見つかりました。


Anselme Kiefer Centre Pompidou  アンゼルム・キーファー展 ポンピドゥーセンター

ポンピドゥーセンターで4月18日まで開催中のドイツの画家、アンゼルム・キーファー(1945-)の個展をみてきました。 
1960年代から現在までの作品を紹介する展覧会で、アンゼルム・キーファーの大きな展覧会としてはグラン・パレでの『Monumenta』以来久しぶり。
という事で、今回はとても楽しみにしていました。

https://www.centrepompidou.fr/id/c6XxqAX/rgXxaGa/fr

ただ、ポンピドゥーではここ最近良い展覧会がなかったので、どんな感じになるかと思っていましたが、案の定、キーファーの良さが最大限に引き出された展示になっていないような感じがしました。 
特にガラスケースに入った作品は、狭い展示室に沢山の数があり、どうしても人の流れがそこで止まるので、人が多くてじっくり見ていられないのが残念でした。
それに、平面絵画だけの展示が多く、平面と立体とを同時空間に置くキーファー作品の今までの展示方法と比べると、不十分に思えてしまいます。
BnF国立図書館で開催している展覧会の方が、本という1つのテーマを中心に平面と立体とあり、キーファーの詩的な部分や表現の幅の広さが感じられると思いました。

もちろん今までの様々な場所でのキーファーの展覧会を観た事がない人にとっては、見応えのある展覧会には違いありません。
それは、歴史、神話、錬金術、宗教などのテーマが、様々な素材を使ったスケールの大きい画面に表され、普遍性をもって、観る人の心にせまってくるからです。


入口の活動年譜

初期作品



ポスターにもなっているガッシュの作品











ドイツの歴史がテーマの展示室 







テーマごとの展示になっています
















ガラスケースに入った作品の展示室は、このように狭いところに沢山の作品が
はいっていて、人の流れがここで止まりゆっくり見ていられないのが残念。
なぜこんな展示方法にしたのか、いくら博物館的にしたかったとしても、
もう少し広さがあった方が見やすい。


壁に展示してある写真の作品とガラスケースの作品とで良い相乗効果が生まれている。













博物館のようにガラスケースにはいった作品の展示室


『夜の秩序』
焼けこげたひまわりの下に横たわる男がいる作品


焦げた本が画面から飛び出している作品

 



















ピラミッドの下に横たわる人


砂嵐のようなマチエールがなんともいえない効果を生んでいる







文字が書かれています。キーファーは詩人になりたかったとのこと。






黒から色へ  近作は色を使った作品へ







色が使われ花が描かれている、こういう最近作(2015) をはじめてみました。


ゴッホのようなタッチの作品







渋い色合いの背景とビビットな色の組み合わせ。
なんとも味のあるマチエールの画面
ゴッホのような狂気も感じつつ、いつまでも見ていたい作品でした


 




森の絵を背景に色々なキノコが並ぶインスタレーション。
最新作です。 キノコは再生を意味しているのか。