Exposition「La Chaise Voyageuse 旅する椅子」 Uran-AsakoK. 展覧会のお知らせ

【お知らせ: 2020年3月15日現在、Covid-19によるヨーロッパでの爆発的感染拡大により、大変に残念なことに、4月にパリで開催予定であった以下の個展が延期(中止)となりました。
100人前後が集まる催しは全て中止の勧告からはじまり、カフェ・レストランなど商業施設は閉鎖、学校や美術館も閉鎖となった今、仕方ないとはいえ、一年かけて準備をしてきてこの個展に向けて猛烈に制作にとり組んでいたのでとても残念です。
また、今回の個展会場である教会の回廊は、2020年7月から約2年間改装工事に
入る予定であるため、この会場で個展をする場合の開催は2022年となります。】


「La Chaise Voyageuse  旅する椅子」展覧会のお知らせ

2012年から現在まで続くプロジェクトの一つである「La Chaise Voyageuse (ラ・シェーズ・ヴォワジャジューズ)− 旅する椅子」の写真シリーズの展覧会を2020年4月にパリで開催いたします。
会場は、パリの中心・パリ市庁舎近くの中世の教会回廊。会場となる礼拝堂の建造は1294年、その後回廊部分が1427年に建てられ、歴史的建造物(文化財)としてパリに残る唯一の中世の回廊です。 
ぐるりと四角く元修道院の建物が囲み、中央部分が吹き抜けで外から自然光がさしこむ半室内の空間で、現代アート等の作品展示場として使われてきました。 平面絵画だけでなく、この空間をつかったインスタレーション等の展覧会もあり、開放感ある大変興味深い空間です。
下の写真は、この回廊で私が2000年に開催した個展「L’univers du retour éternel 永遠回帰の宇宙」のDMと会場写真。
ここは私がパリで最初に本格的な個展をした場所であり、このミレニアム記念展から2020年は20年目の20周年記念展となる事から、この場所のディレクターであるThierry RENAUDIN (ティエリー・ルノダン)とのやり取りで「La Chaise Voyageuse 旅する椅子」展の開催が決定しました。

【開催概要】

Exposition「La Chaise Voyageuse 旅する椅子」
会期:2020年 4月15日〜29日
会場:Le Cloître des Billettes(ル・クロワットル・デ・ビエット/ 教会回廊)
24 Rue des Archives, 75004 Paris France.

出展者: 小西朝子 (作家名:Uran-AsakoK.)
内容 : パリと日本を拠点に活動する美術家・小西朝子(Uran-AsakoK.) の「La Chaise Voyageuse 旅する椅子」の写真シリーズ約50点による個展。
2000年に同じ会場にてパリで初めて個展が開催されてから20周年目にあたる記念の展覧会。
この「La Chaise Voyageuse 旅する椅子」の写真シリーズは、小さな椅子が様々な国を旅するというシリーズで、2012 年から現在まで続くプロジェクトである。
パリ中心にあるパリ市の文化財である中世の回廊にて、壁面ごとにテーマにあわせて作品を選び、インスタレーション形式で展示する。
是非ご覧ください。




「La Chaise Voyegeuse 旅する椅子」
Mont Saint-Michel, France. 2016
PhotoⒸUran-AsakoK.



*"旅する椅子"は Instagramにて掲載更新中 :  https://www.instagram.com/uran_asakok/
#lachaisevoyageuse #旅する椅子

*開催についての詳細をお知りになりたい方は、お名前・ご返信先を明記の上、
以下のメールアドレスまでお問い合わせください。
akpromo@icloud.com



下3枚は2000年4月に開催した「L’univers du retour éternel 永遠回帰の宇宙」のDMと会場写真。この時も今回と同じ復活祭の時期でした。この回廊の20年前の写真と現在と雰囲気はほぼ変わりません。感じが分かるかと思います。




2000.04.16-30 20年後、まったく同じ時期に開催する



2000.04 4面ある回廊ごとにテーマを変えた展示をした

 

2000.04 展覧会名にした”永遠回帰の宇宙”の作品



NHK学園くにたちオープンスクール 短期講座 2019/04-06

私はここ数年、日本とパリを行ったり来たりしながら活動してきて、日本滞在中は、NHK学園くにたちオープンスクールで「新しい造形表現にチェレンジ!コラージュ・抽象画」という従来の美術講座ではなかなかないピカソ以降の美術を教える定期講座を10年以上続けてきていました。その定期講座と平行して、時々、短期講座もしてきています。 
短期講座の方も”新しい造形表現”にそった内容で、色々な技法をとりあげてきました。こんな講座があったのか、というような他にはない内容ばかりです。 
短期講座の方は、前から興味はあったがなかなかはじめる機会がなかった方や、とりあえず短期間だから、という軽い気持ちで初心者の方でもご受講しやすくなっています。

前置きはともかく、記憶に新しい一番最近(2019年4月〜6月・春期)終了した短期講座のご紹介です。
内容は、定期講座のタイトルにもなっている、”コラージュ技法”。
定期講座で長年教えてきたコラージュですが、一般的にコラージュ技法については基礎というべきものが正確に伝わっていない、まだまだ理解が深まっていない、浸透されていないと思えます。 パリと日本を長年行き来してきた中で、日本とフランスの理解度の違いも感じるところがあります。
現代ではコラージュについては、ちまたに溢れかえっているわけですが、それでは、美術におけるコラージュは誰が最初にどういう流れの中で始めたのか、と問われれば、答えられない人が多いのです。
そこで、基本に立ち返り、基礎的理解が一番大事、ということでピカソとブラックのコラージュ作品をとりあげて、コラージュの歴史と技法について学び、実際に制作もする短期講座「〜コラージュ創始者・ピカソから学ぶ〜コラージュ技法 Le Collage」を開講いたしました。(以下にその概要を貼り付けます)


































この講座は何度開催しても価値のある講座だと思います。
ちょうどこの時期、ピカソ作品のテーマごとに異なる展覧会がパリの3ヶ所の美術館で同時に開催され、ピカソという21世紀の巨匠の仕事の全体をみられる絶好の機会がありました。(オルセー美術館、ポンピドゥーセンター、ピカソ美術館というパリの主要美術館の三ヶ所で同時に開催)
もちろん注目度は高く、どの会場も大勢の人出でした。
私がその中で最も注目したのは、ポンピドゥーセンターでの「Le Cubisme ル・キュビスム」展です。
ポンピドゥーセンター(Centre Pompidou)というのは、パリのマレ地区にあり、ピカソ以降の近代・現代美術を収集・展示している世界的にも有名な美術館の一つです。
そこで、開催された「Le Cubisme ル・キュビスム」展では、ピカソとブラックによって始められたコラージュ技法による作品も数多く展示されていました。
コラージュ技法の創始者がパブロ・ピカソである事、コラージュはキュビスム(立方体派)という現代美術の大きな動向の中ではじめられた技法である事、まずこの2点が重要です。
まず、キュビスムもコラージュもピカソが始めた、という事を知らなければなりません。 
そして、そもそもキュビスムがどのような動向であったかを知らないとコラージュについての理解が表面的なものになってしまうのです。
そういうわけで、この春期の短期講座では、1日目に私が実際にポンピドゥーセンターで撮ってきた写真のスライドショーをお見せし、キュビスムとは何か、コラージュとは何か、について資料と共にレクチャーをしました。
平行してはじまった定期講座の方では、キュビスムだけをメインにし、キュビスムについての理解を深めて頂く講座にしました。
こういう講座は現代においては益々されるべき、何度も繰り返し開講されるべき講座だと思っています。
日本のカルチャーセンターで昔からされているありきたりな従来の美術講座ばかりでは、ますますとり残されていくのです。 美術・芸術というのは本来、先を行かなければなりません。
そんな高度な知識はいらない、とカルチャーセンターの責任者からは言われそうですが、専門的な知識を一般の人が得てはいけないという事はないのです。反対に、専門家から正確で高度な知識を学ぶ事で、初めてその世界への眼が開かれるものではないでしょうか。
カルチャーセンターだから遊びのような簡単な感覚のものができれば良い、というわけではないはずです。 私はそういう思いで長年講座をしてきました。

以下は講座風景や受講生の様子・作品など。

「〜コラージュ創始者・ピカソから学ぶ〜 コラージュ技法 Le Collage」

2019/05/10【スライドショーとレクチャー】第1回
画像をスライドショーでお見せした後、お配りした資料(テキスト)をもとにレクチャー。レクチャーの模様は残念ながら今回は写真を撮っていませんでした。
終わった後にホワイトボードだけ撮ったもの↓









お配りしたコラージュ用材料
これは紙のもので、パリから持ってきた新聞(ル・モンド)や雑誌切り抜き、包装紙など。 2回目以降のコラージュ技法の実技に使う材料は全て私がご用意しました。


2019/05/24 【実技】材料・技法の紹介と実践 第二回
前回のキュビスムについてのおさらいとコラージュについてのレクチャーの後、実技に入りました。


前回のおさらいとコラージュについてプロジェクターで作品をお見せしながら説明




































コラージュに使う材料




お渡ししてある資料を見ながら、模写するピカソ作品をまずクロッキーし、線でとらえる。まず線で形をとらえる事は大事です。



ピカソのキュビスムやコラージュ作品ではモチーフに日常使う物が選ばれています。
テーブルの上にありそうな物をセットしたのは、よく見てイメージを明確に持って頂く為です。 このまま具象的に描くためのモチーフではありません。






















2019/06/14 【実技】コラージュ ピカソのコラージュ作品の模写 第三回






この日はピカソのコラージュ作品の模写に集中してとり組みました。
模写をする意義はとてもあり、発見がたくさんあります。
例えば、簡単そうに見えた画面構成が絶妙のバランスで成り立っている事。
材料もただ単につかっているのではなく厳選されていること。マチエールの違いを出していること。見ているようで見ていなかった細部、理解出来ていなかった事が実際に模写をする事により明確にみえてきて、発見と共に学ぶことが沢山あるのです。




講評会:ピカソ作品の模写(ここまで1時間半ぐらい)
まだ途中の段階ですが、だいぶ感じが出てきました



コラージュをし、だいたいの配置ができたところ






















コラージュは初めての方もいらっしゃいましたが、1時間半でここまで進みました。
続きは次回まで各自宿題となりました。(それぞれの課題をお伝えしました)


2019/06/28 【実技】コラージュ 応用編



前回からここまでやってきて頂きました。(並び順は前回とは異なっています)
ピカソ作品の模写は、ほぼ完成です。

















応用編へ 
各自、お渡ししてあるコラージュ材料をつかってまず画面構成を考え制作して頂きました。自由とはいえ、画面構成のヒントは出してあります。






















受講生Oさんの途中の作品:配置が良い感じです 

このように↓↓ 線とキュビスム的形態を加えていき
意外性を入れる事で面白さを出していきます。



























講評会:応用編(ここまで1時間半ぐらい)
短時間で模写だけでなく応用編もし、それぞれの作品が出来上がりました。
まだ完成ではない方もいらっしゃいましたが、講座内の短時間でここまで出来たという事はかなりの成果です。 
ひき続き、コラージュの本当の面白さが会得できるまでもっともっと続けて頂きたいと思いました。



Photos©️Uran-AsakoK.




Bonne Année 2019   Happy New Year  謹賀新年


Meilleurs Vœux
Happy New Year
明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願いいたします。

今年の年賀状に選んだ写真は、昨年2018年10月にドイツ(バンベルクとベルリン)を旅した時に撮った写真で、一番印象に残った場所です。
それはどこかというと、ベルリンにある「Memorial to the Murdered Jews of Europe」。
日本語訳では、「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」。
高さの異なる棺のような装飾のない長方形のモニュメントがどこまでも置かれた場所。

ここは地上のモニュメント(慰霊碑)だけでなく、地下には展示室もあり、ヨーロッパでユダヤ人が虐殺された歴史(場所、ルート、拠点、内容、数、証言インタビュー、ユダヤ人家族の歴史等)をよく知る事ができる場所で、世界中からの訪問者がいます。

やはりドイツーベルリンに行ったらここを訪れないわけにはいきません。
ドイツはこの負の歴史を背負っていかなければならない、という認識のもとにつくられた記念碑ですが、加担したすべての国にいえること。ヨーロッパの負の歴史ともいえます。

ともかく、ドイツといえばユダヤ人大量虐殺の主犯ですから、この事なしではドイツは語れません。
私がお隣のパリに暮らしながらベルリンに行かなかった理由はここにあります。
行ってみて思ったのは、あのような負の歴史を背負った国には明るい未来はない、ということ。
普通に住みたくはないけれど、芸術家として考えた場合は、少し違ってきます。
いまベルリンには多くの芸術家がいて、現代美術の美術館やギャラリーも多く、芸術に力を注いでいるのがわかります。












「旅する椅子」
「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」
ベルリン, ドイツ

「La chaise voyageuse」
Memorial to the Murdered Jews of Europe, Berlin, Allemagne.
16.10.2018 .
©︎Uran-AsakoK.

























































長方形のモニュメントが並ぶ細い通路の下から上を見上げると切り取られた空が 

飛行機のようにみえたり

十字にみえたり

十字架にみえたり




































































「旅する椅子」
「La chaise voyageuse」
Memorial to the Murdered Jews of Europe, Berlin, Allemagne.
V, 16.10.2018
©︎Uran-AsakoK.



















































「旅する椅子」
「La chaise voyageuse」
Memorial to the Murdered Jews of Europe, Berlin, Allemagne.
VII, 16.10.2018 .
©︎Uran-AsakoK.






Photos©︎Uran-AsakoK.
Uran-AsakoK.©droits réservés.