NHK 音楽際 2011

10月6日(木)NHK音楽祭をやっている渋谷のNHKホールに行ってきました。
9回目の今年は『華麗なるピアニスト達の競演』との題で、世界中からピアニスト5人を招いてのピアノ協奏曲の演奏です。
私が観た6日の公演は、 あのシプリアン・カツァリスのピアノでネヴィル・マリナー指揮のNHK交響楽団、という前々から楽しみにしていたコンサートでした。
2階のR席で、NHKの撮影用ビデオの真横という場所でしたが、ビデオ撮りしているだけあり、全体が見渡せて以外とよかったです。(そこしか席がとれなかったという話しではありましたが)
世界的ピアニストのシプリアン・カツァリス(フランス人)は1993年のNHKの『ショパンを弾く』シリーズで知っている人も多いと思いますが、私もこのテキストを持っていて、当時はよくTVとテキストをみながらショパンを練習したものです。久しぶりの日本での生演奏ということで、ファンは期待していたことでしょう。私は懐かしい感じがしました。
本人をみてすぐに思ったのは、髪の毛が以前は白髪がはいっていたのに、すっかり染めて茶色になっていた事。
実際のピアノ演奏はというと、モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467」だけの1曲の演奏ですからあっという間。アンコールにこたえて、カツァリスが作曲したと思われる「さくらさくら」を演奏しましたが、それにしても物足りない。
前菜だけ食べて主菜とデザート抜き、のような感覚でした。主菜を待っていたら終わってしまった、、、という様な。
演奏自体はモーツァルトの良さがでているのびやかで軽やかな素晴らしいものでNHK交響楽団との息もあっていましたが、一曲だけというのはどういう事か。私もちゃんと曲目を事前に把握していなかったのもありますが、招ぶ方も招ぶ方で、せっかく招んだのならせめて他に3曲ぐらいは小品を演奏してもらうようなプログラムにしてもよさそうなもの。お客は高い金額を払って聴きに来ているのに、なんというもったいつけたもんだと思いました。

パリで今時期に毎年フェスティバル・ドートンヌという秋の祭典があり、音楽だけでなく演劇やダンス、造形美術など芸術全般すべての公演をいろいろな場所でやるのですが、私はこの催しが好きで、パリに滞在中は必ず6〜8つぐらいの様々なジャンルの公演を観てきましたが、ピアノコンサートにしても世界的に活躍している第一線のピアニストの演奏をとても信じられないぐらいの低価格で観る事ができ、それも内容的にも濃い充実したものになっているのです。
芸術、それも前衛芸術を一般市民が享受できる良い機会になっていて、そのフェスティバルの主催者といいパリ市民への浸透具合といい、感心しますが、やはりそういう催しを観てきた私としては、NHKの今回の音楽祭はなにかもったいつけているように思えてなりませんでした。
まして、題名に『華麗なるピアニスト達の競演』とオーバーにつけられているのはどうか?と。休憩をはさんで演奏された、ブラームス「交響曲第1番ハ短調作品68」のNHK交響楽団による演奏は、久しぶりに交響曲を聴いたという意味と指揮者がネヴィル・マリナーで良かったですが、題名がピアニスト達の競演となっているのですから、ピアノ演奏をもっと主体にやったっていいわけです。
キーシンも招ばれていて、チケットはすぐに完売したらしいですが、やはり一曲だけ、それにその日はシドニー交響楽団でウラディーミル・アシュケナージ指揮という興味をそそる内容ですが、交響楽団の演奏は他に一曲だけ。つまり、2曲だけ!!というプログラムで、随分高い内容です。
日本人のお客はそれで満足するのか?ずいぶんもったいつけたサービス精神に欠けた内容ではないでしょうか。
 
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豆知識:
フェスティバル・ドートンヌとは? 

芸術の都、パリで毎年秋に催される前衛芸術の祭典。1972年、ポンピドゥー大統領の肝いりで文化大臣のミシェル・ギー(Michel Guy)が総監督となってスタートした。90年にギーが死去した後はアラン・コロンベック(Alain Crombecque)が総監督をつとめている。
運営組織はNPOで、文化・コミュニケーション省、パリ市、イル・ド・フランス地方からの助成金と、企業や個人、友の会会員からの寄付により運営されてい る。国内初演のオリジナル作品の紹介、実験的な作品や新しい才能の発掘、ヨーロッパや北米の文化機関とのコラボレーション作品の委嘱、非ヨーロッパ文化圏 の主要な作品の紹介などをフェスティバルの柱としている。
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以下は今回のNHK音楽祭の会場で撮ってきた写真↓





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