先日10月13日(木)、23日(日)まで開催している南川三治郎写真展「アトリエの巨匠たち」(ギャラリーイー・エム 西麻布にて)でのギャラリートークに行ってきました。南川三治郎氏に初めてお会いでき、お話をお聞きできてとても有意義な時間を持つことができました。
会期等の詳細は以下HPをご覧ください↓
会期:2011年10月5日(水)〜23日(日)PM12:00〜19:00
ギャラリーイー・エム 西麻布
http://www.takeuchi-studio.jp/gallery_em/index.html
写真家・南川三治郎氏の公式サイト↓
http://www.s-minamikawa.com/
なぜこの写真展のギャラリートークに行ったのかというと、私はこの南川三治郎さんによる”アトリエの巨匠たち”シリーズの写真と文章を子供の頃から『芸術新潮』(新潮社刊)で熱心にみていた一読者、大ファンの1人、だったからです。
もちろん今までたくさんの写真展をされているわけですが、私はずっとパリに滞在していて
日本にはいなかったこと、自分自身の経験をつんできた事、最近の南川氏のカミーノ・デ・サンディアゴの写真展などを拝見した時は、すでに私が計画して実行してきたサン・ジャックの道で笑顔を撮るというプロジェクトと重なるところもあり、これは一度お会いしてみたいと思っていたのもあります。
この写真との出会いは、かなり前、子供の頃にさかのぼります。私があんまり熱心に絵を描いたり造形をするのをみて祖母が画家になったらいいんじゃないかと助言し、絵画教室に通いはじめたのは3歳、自分で芸術家として生きようと決心した小学校4年生の頃、その成長とともにずっと家に”芸術新潮”と”太陽”があり、それは母がずっと定期購読していたおかげなのですが、その中でも特にこの南川三治郎さんによる写真と文章が掲載された世界中のアーティストのアトリエが紹介された連載のページだけは子供心に特に惹き付けられ、心に刻みつけられていたのです。
芸術家のアトリエ、それも世界中の一流の芸術家のアトリエというめったに見られない空間を見られるという喜びと秘密をのぞき見るようなワクワク感は、年月がたった今でも変わらずあり、世界中の巨匠と呼ばれるアーティストの顔と作品が完全に一致できるのも、この写真(芸術新潮での連載記事)のおかげです。当時の作家はほとんど亡くなっている事からもかなり貴重な写真&文章になっていると思います。
もちろん、写真集『アトリエの巨匠たち』は受賞された作品なので、その価値は十分世の中に知れ渡っているわけですが、私にとっては芸術新潮に写真と共に連載されていた”文章”も印象深く残っていて、アトリエのある場所などの説明からはじまって、アトリエを訪ずれた時の臨場感を感じるアーティストとの会話、接した時の生の感覚などが伝わってくるような文章がとてもよく書かれていて、その文章力に感心し、魅了されたのをおぼえています。
残念な事に、当時あんなにあった芸術新潮が東京から浦和への引越時と火事ですべてなくなってしまい、 今は昔のものは手元にはないのです。唯一、文章が載っている本としては、以下↓の『アトリエの巨匠に会いに行く』、という本が文章が載っていてその素晴らしさを垣間みる事ができますが、文庫本サイズで朝日新書から出されているものなので、写真が小さくてもったいない。小さくても良いものは良いのですが。
おススメの本↓
『アトリエの巨匠に会いにいく』南川三治郎 2009年・朝日新書刊
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=10467
芸術新潮ぐらいの大きさで当時の文章と写真(1作家につき3枚ぐらい)を掲載したものを、重くなるので薄がたで何冊かのシリーズにしてまとめてだしてもらいたい、、と切に思います。
写真集『アトリエの巨匠たち』(1980年・朝日ソノラマ刊)『アトリエの巨匠・100人』(1994年刊・新潮社)はそれぞれの作家に1ページ写真を選んで掲載されていますが、南川氏による文章がないのが私には残念なのです。
ところで、写真集『アトリエの巨匠たち』(1980年・朝日ソノラマ刊)に、パリ18区の私のアトリエがある同じ建物(アトリエ群)で長年制作している知人のアーティストMonique Journod が掲載されているのが最近分かり驚きました。もちろん今よりも30歳は若い姿で撮られているわけですが、私が知り合ったのは、このアトリエ群に8年前に入居してからなのでついこの間のこと。
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左側の女性がMonique Journodさん。2010年のアトリエ公開で、私のアトリエにいらしたところを撮った写真です。日本人の知合いが多いことはよく本人から聞いていましたが、まさか南川氏の写真集に載っているとは思っていませんでした。 | |
以下↓のページがMoniqueさんと私のアトリエがある建物の紹介HPです↓Moniqueさんは
パソコンをやらない為か?名前が掲載していないようですが。。私の紹介ページは、Peintresのところの一番上の名前をクリックすると見られます。
このアトリエ群は、ヨーロッパで最大・最古のアトリエ群なので、高齢のアーティストも多いです。 環境が良いので、出て行かない、生涯を過ごす方も多い様です。
http://www.montmartre-aux-artistes.org/menu_Peintres.php
話しが長くなりますが、 さて今回のギャラリーイ・エムでの写真展ですが、なんと15年前に制作された作品の本邦初公開! アルシュ紙を私製印画紙にし、現像液に浸して制作したという15年前にしては斬新な技法で、15年間保存されていた作品なのに、全然変わっていない(紙の退色など)という事は当時の制作過程がよかったのでしょう。白黒で刷毛跡を全面にのこしているという点がまた写真集のカラー写真とは違った印象、絵画的な効果というのもあります。
今回、私はこの貴重な作品のうち、以下のアーティストを撮った作品を3点購入しました。
1: ピエール・スーラージュ (フランス人造形アーティスト)
2: ピエール・クロソウスキー(フランスの小説家・思想家・画家 バルテュスの実兄)
3: フランチェスコ・クレメンテ(イタリア人造形アーティスト)
すべて私の好きな作家達。これは貴重なコレクションとして大事にしたいと思います。
私が10月13日(木)にお会いした時に撮らせて頂いた南川三治郎氏の写真は以下に↓
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私が購入した、クレメンテの写真作品を指さして下さっています ♫ |
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このクレメンテの写真作品は、刷毛跡の効果もあり、水の中にいる(映った)孤独なアーティストといった風情を感じます。 |
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こちらはスーラージュ。リミテッドエディションなので、3枚の限定枚数のうちの1枚。
私が選んだ作品のスーラージュとクレメンテは偶然にも両方とも座りで左足をあげて手をのせているポーズでした。 | |
他に作品として魅力的だったのは、クリストとステラ、好きという理由でタピエスなど。
アネット・メサジェがありましたので、ボルタンスキーがあるかとお聞きしたところ、ないとの事で残念。もし昔のボルタンスキーの姿があったら必ず購入していたことでしょう。なんといっても私にとっては恩人でもあります。ボルタンスキーが私の研修受け入れ先になって下さったお陰で、2006年に文化庁派遣研修員としてパリに滞在できましたので。
ともかく、南川三治郎さんご本人から、この世界の巨匠のアトリエを撮るという企画をはじめたいきさつから作家に会うまでの苦労話しなど、興味深いお話しをお聞きできたのはとても有意義でした。スーラージュのお話しも聞けてよかったです。宝のような沢山の貴重なエピソードをまた色々とお聞きできる機会があるといいな、と思いました。