「Maison Picassiette」Chartres 「ピカシエットの家」 シャルトル 2日目-1

2017/04/14 「Maison Picassiette」Chartres, France.
La Maison Picassiette à Chartres
「ラ・メゾン・ピカシエット」 シャルトル, フランス
「ピカシエットの家」

シャルトルの中心(郵便局の前)からバス4番で15分ぐらい。
歩きだと30分かかると聞きましたので、バスで行ってきました。
ここはシャルトルの隠れた名所。
今回のシャルトル滞在の目的地、一番楽しみにしていた場所です。

ピカシエットの家とは、Raymond Isidore レイモン・イジドール氏の自宅で、モザイク芸術の家です。
1900年生まれ1964年没(自身の誕生日9月7日に亡くなりました)の彼の家は、自宅だけでなく、礼拝堂、庭、とすべてモザイクと壁画で彩られていますが、すべてレイモン・イジドール氏が1930年から亡くなる1964年まで拾い集めてきた陶器やガラスの破片で作り上げた世界。
1人で30年以上かけてつくられたもので、素晴らしい!の一言です。
南仏ドローム県オートリーヴにある「郵便配達シュヴァルの理想宮」と同じような感動のある傑作。
”シュヴァルの理想宮” は、だいぶ前にリヨンからレンタカーをかりて(私の運転で)訪れたことがある思い出深い場所で、このピカシエットの家と共通なのは、シュヴァルは郵便配達夫であり、イジドールは墓地の清掃人として、他の仕事をしながら何十年にもわたってコツコツと一人でつくり上げた建築物だということ。 
アール・ブリュット(生の芸術)の傑作と言われていますが、アール・ブリュット、とカテゴライズしてしまうのは私はどうかと思っています。
確かに、ここまでモザイク画でうめつくしていく情念というのは普通の人にはない狂気的なものだと言えなくはないですが、じっくり見た感じの感想としては、精緻で的確な表現には冷静な眼も感じましたし、庭の壁が未完な部分は完成していたらさぞかし素晴らしかっただろうという期待感も生まれました。 アール・ブリュットの作品を観るとよく限界を感じる事があるのですが、イジドールの作品には詩的な世界があり、限界というものは感じませんでした。
なので、アール・ブリュットの作品、とカテゴラズされると、もったいないような、それだけではないものがあると思えるのです。

ちょうどVacance de Pâque 復活祭のバカンスで、子ども達が沢山来ていましたが、あんまり楽しくてキャーキャー奇声をあげていました。
礼拝堂の内部に入ったとたん、感動のあまりびっくりした声をあげている子どもを見て、こういう作品こそダイレクトに子どもの心と感性に伝わるものだと思いました。
理屈云々は抜きにして、愛に溢れた作品と鳥の声、庭の花々と木々、そして池など自然と建築物・創作物が一体となった豊かな空間にいる幸福を味わいました。


■ Picassiette
ピカシエットは、Pique  assietteからの造語。
ピクは刺す、つまみ取る。アシエットは皿の意味で、ピク・アシエットで他人の皿からつまみ食いすることを言う。それに Picassoをもじっているとのこと。
使われた破片の数は440万個、重さはおよそ15トンと推定されている。

■ピカシエットの家
Maison Picassiette
22, rue du Repos 28000 Chartres
TEL:02 37 34 10 78
10:00-12:00, 14:00-17:00
閉館:火、日午前、11月~3月休
4月から10月に公開 (11月~3月は休み)
10h-12h/14h-18h。4月は17hまで。7、8月は10h-18h。
10月は土曜10h-12h30/14h-18h、日曜14h-18h。
5.60/2.80€、18歳以下無料。

Chartresの紹介ページ↓

Maison Picassietteの標識を見つけると分かりやすいです。 
住宅街の中にあります


国の歴史記念建造物に指定されています
文化遺産のプレート





国の歴史的建造物として指定されているマーク





入り口の狭い通路の先にチケット売り場



着いたところで記念にパチリ



住居部分の建物 
周りはチューリップなどの花やモザイク画
でうめられています
花の色がケバケバしくなく、黄色と白色系の色の花
だけなのが私好みでした
白と黄色は心を癒す色です



Cour d'entrée 入口の中庭














床の教会のバラ窓のような円の
デザインもいい感じでした







入り口部分をうつした動画↑↑
鳥の声も入っています


Cuisine
キッチンの壁には「モン・サン=ミッシェル」
描かれています。 
モン・サン=ミッシェルは巡礼地で聖地であり
多くの人の憧れの場所。
この絵を見ながら、モン・サン=ミッシェル
への思いを募らせていたのでしょうか。
毎日この絵を見ながら食事をするなんて楽し
そうです。






オーブンコンロも陶片で綺麗に装飾されていて
可愛らしい



動画だと内部の様子が分かりやすいです↑↑



この密度はすごい。
装飾することへの情熱を感じます
陶片は日にあたるとキラキラします






Boudoir  居間
家具も陶片のモザイク装飾がされています


Chambre à coucher 寝室
ベットもミシンもモザイク


自宅の外壁


シャルトル大聖堂のレリーフ






Chapelle  礼拝堂内部  
ブルーが神秘的で印象的。素敵な空間です





部分を見ると対象を的確に
とらえているのが分かります



















La cour noire 黒い中庭







色々な聖堂や教会が描かれていました



上に見えるオブジェは、シャルトル大聖堂







様々な教会が集まっています



夏の家へ





「La chaise voyageuse」「旅する椅子」
   ©︎Uran-AsakoK.©droits réservés





Maison d'été 夏の家に描かれていた壁画



新聞に載った記事や当時の写真など



奥様とレイモン・イジドール氏


Photo: La Maison Picassiette©droits réservés



全体の見取り図
この資料館はMaison d'été. 夏の家











お皿やカップなどの破片も見えます



Passage couvert
屋根のあるパッサージュ


Le jardin aux statues  彫像のある庭園






このヒゲ男の全身像は20世紀初頭の
殺人鬼ランドリューだというのは
本当なのだろうか・・
ゴッホかと思ったのですが(笑)



黄色と白色の花がキラキラしていました
花の色をカラフルにしない、というのは私の好みなの
ですが、ここまで徹底するとは感動的







小さな祠がありました
こういうの好きなんです






「La chaise voyageuse」「旅する椅子」
Uran-AsakoK.©droits réservés















Le jardin à la français et son bassin 







魚が結構たくさんいました















屋根から塔がいくつも出ている向こう側は
「心の墓碑」という礼拝堂になっています


























Le tombeau de l'Esprit
心の墓碑 















出た所の果樹園に猫がいました










Le verger  果樹園 












「La chaise voyageuse」「旅する椅子」
Uran-AsakoK.©droits réservés






以下は、パリの新聞「オブニー」に掲載されていた記事↓

シャルトル旧市街を南に抜けた住宅地の路地に、レイモン・イジドール(1900~64)が30年以上の歳月をかけて作り上げたアール・ブリュットの傑作「ピカシエットの家」がある。
25歳で結婚した彼が、奥さんのアドリエンヌのために手に入れた小さな家は、外壁はもちろん、塀も路地も植木鉢も、すべてモザイク模様で埋め尽くされている。
シャルトルやモン・サンミシェル風景などが描かれた壁に近づいてみると、この色とりどりのモザイクは、割れた皿やビンなどの破片。ブロカントで買ったウチの皿と同じ模様だったり、白い楕円形はポットのフタの裏側だったり、墓に供えられている陶製の花だったり、見飽きない。
鋳型工や電鉄会社の作業員などとして働いていたイジドールが自宅の壁を皿の破片で飾り始めたのは1931年。38年ごろからは室内のモザイクにとりかかります。
狭い3部屋の生活の場は、壁、床、天井、そして台所の調理台も、テーブルや椅子も、寝室のベッドも、ミシンまでもが、すべてモザイクで埋め尽くされている。
戦後の1945年からは路地や中庭、塀にもモザイクを広げる。一時精神病で入院したけれど、退院後の49年からは近くの墓地の清掃人として働きながら、ひたすらモザイク制作を続けたのです。
53年からは「シャペル」や「夏の家」などを増築している。小さな礼拝室は、色が青を主調におさえられ、天井も床も一体になった空間に、天窓からの柔らかな光が差し込んでいます。信心深かったイジドールは、ここの制作に4年近くもかけている。
キリストや聖母の周りの羊や草花が、クリュニー美術館の『貴婦人と一角獣』を思わせます。
「黒の中庭」とその横に建つ「夏の家」の壁には、サン・ピエトロ寺院をはじめ各地のカテドラルが白黒のモザイクで描かれ、屋根にはシャルトル大聖堂が載っている。
「夏の家」の外壁は、人形やカップなど他では使っていないガラクタが埋め込まれていて、室内はなぜか未完成です。
庭との間の小屋は、モザイクは一部だけで、モナリザや女性などの壁画が並んでいる。他にも女性像が多いけれど、これらはたいてい奥さんのアドリエンヌらしい。ミース・ファンデルローエに「神は細部に宿る」という言葉があるけれど、神さまもカミさんも細部に宿っているわけです。
ヒゲ男の全身像は20世紀初頭の殺人鬼ランドリューだという。
庭に出ます。いくつもの彫像やエッフェル塔などが草花に埋もれて立っている。
1958年から62年にかけて母屋の裏に造られた、「心の墓碑」というもうひとつの礼拝堂は、アーチ型のトンネルから入る洞窟状の部屋に、キリスト生誕の図などが青と黒のモザイクで描かれている。青はシャルトル大聖堂のステンドグラスの色、黒は大地の象徴だという。この屋根からは、ガウディみたいな塔がいくつも突き出ています。
イジドールは1964年にその生涯を終え、近くの墓地に奥さんとともに眠っている。
墓の向こうに彼が愛した大聖堂が見える。その姿は、ピカシエットの家の屋根の大聖堂と同じアングルなのです。(稲)







ピカシエットの家の作者:レイモン・イジドール
奥様アドリエンヌAdrienneのお墓
向こうにシャルトル大聖堂が見えます
Photo: La Maison Picassiette©droits réservés



Photos©︎Uran-AsakoK.
Uran-AsakoK.©droits réservés


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

陶器の破片等でこつこつと制作していた作者の情景が眼に映る様です。
楽しくて、制作しながらも心躍るような心境だったのではと,勝手に想像しています。
ともかく実際に見に行かなくてはと思います。

匿名 さんのコメント...

この写真は素晴らしいですね。この場所に行きたくなりました。