おすすめの映画 『セラフィーヌの庭』

 おすすめついでに、最近みた映画(DVD)の中で、よかった映画をひとつご紹介します↓
地震関連のTVばかりで気持ちが落ち込むのもあり、いろいろDVDをかりて観ていますが、久しぶりにしみじみとした感動がありました。
この映画、今は普通のDVDショップにおいてありレンタルして観られます。
岩波ホールで公開当時は静かなブームになっていたそうです。



『セラフィーヌの庭』
http://www.alcine-terran.com/seraphine/index.html

予告編↓
http://www.youtube.com/watch?v=hlHWdP4ZGzQ


この方↓の文章が分かりやすく、私の感想と近いです。
(画も載っていてGood)

http://gwakabayashi.blog135.fc2.com/blog-entry-5.html




貧しく孤独な女性セラフィーヌの日々を支えていたのは、草木との対話や歌うこと、そしてなによりも絵を描くこと、という文章がDVDの作品紹介の最初に書かれていますが、”寂しかったり悲しい時は絵を描け”と独り暮らしの100歳の画家がTVで言っていたのを思い出します。
私も絵はもちろんですが、ピアノをひくことで救われる事があるので、芸術には観るだけでなく、演奏したり制作する作業にも癒しの効果があるのです。
映画の最初の方で、家政婦のセラフィーヌがウーデに『悲しい時は散歩して植物と対話をするといいわよ』と言うシーンがあり(言い回しは違っていたかもしれませんがそんなような意味の言葉)、その言葉が後から胸にジーンときました。私の父は亡くなる2〜3年ぐらい前から植物研究にとりくんでいて植物関連の本が沢山ありましたが、自分の植物日誌として、植物や樹木と会話をしているかのような詩をたくさん書いていたからです。その詩を読んだ時には深い孤独感に胸がつまり、いつか私がこの詩に画を描いて、詩画集のようなものをつくりたいと思っていたのを思い出しました。


この映画に関する文章として、映画評論家・渡辺祥子さんによる日本経済新聞(2010年8月6日付)掲載の文章を以下に↓。”特異な人生を歩んだアーティストの悲劇を知る”という言葉はちょっと違和感を感じますが。。。悲劇と一言でいってしまうところが。。。
その他のスジガキとしてはおおむねこんな感じです。


美しいけれど、暗く異様な視線を放ち、見る者を不安にさせる。そんな絵を描いた画家の姿を見つめる。
フランス絵画の流れの中で素朴派に属し、本能の赴くまま、あふれる感情をこめて花や樹木、果実などを描き続けた女性画家セラフィーヌ・ルイ(1864~1942年)の半生をつづって2009年仏セザール賞の作品賞など7部門を受賞した。
自然に抱かれ、神への愛に身も心も捧(ささ)げながら、心を病んで精神病院で生涯を終えた女性。その心象風景としての絵が生まれる過程を、監督のマルタン・プロヴォストは細やかに描写して、深い感動を生みだした。
20世紀はじめのパリ郊外の町。家族も頼るべき友も持たない貧しい家政婦のセラフィーヌ(ヨランド・モロー)は、神を敬い、自然を愛し、絵を描くことにすべてを捧げている。
裸足(はだし)で野原を歩き回り、絵の具を手製で調合する姿は、大柄な妖精のようだ。
演じるモローがまるでセラフィーヌ その人に見えてくる。
この町に引っ越してきたことからセラフィーヌを雇い、ふとした折に彼女の描く絵を見たドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデ(ウルリッヒ・トゥ クール)は援助を申し出て創作を見守った。ところが第1次大戦でドイツ人の彼は敵として追われ、戦後は大恐慌が彼の財政状態を悪化させた。この変化が、理解できないセラフィーヌを苦しめる。
アーティストは誰かに発見され、評価されることで認められ、世に出ることが多い。セラフィーヌにもウーデに注目されたことで光があたるが、 彼の置かれた状況の変化が彼女の無垢(むく)と狂気を刺激して心が壊れていった。その様子が感傷を寄せつけない冷めた視線でとらえられ、私たちは、特異な人生を歩んだアーティストの悲劇を知るのだ。
2時間6分。                      映画評論家・渡辺祥子)                                                                                    
                              

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