ウィーンへの旅で最後に言及したいのは、カフェ文化とその歴史の深さです。
ガイドブックにはどこでも、ウィーンが ”カフェ文化発祥地" だと書いてありますが、なんとなくピンとこなかったのは、それまでカフェ文化のある国といえばパリだと思っていたからです。
実際に行ってみて、つくづくなるほどこういう事か、とウィーンのカフェ文化の熟成度の高さを感じました。 基礎がしっかりしている絵画や音楽のようで、アカデミックな部分がしっかりしているというか。それは、王室というものがあったのも大きいと思います。 王室御用達として名高いコンディトライ(お菓子店)である「デーメル」や「ゲルストナー」は甘いものが好物だった皇妃エリザベートがお忍びで訪れたという有名なエピソードがあります。 老舗といわれるザッハーやツェントラル、シュヴァルツェンベルクは、1800年代の創業で、他にも1800年代創業のお店があります。
そして、そのカフェで頂けるトルテのバリエーションの多さと美味しさたるや、びっくりでした。
もともと私はケーキやスイーツがどうしてもというほど好きではないので、わざわざ食べる事は少ないのですが、ウィーンで頂いたトルテは甘すぎず大人の味で、その美味しさは忘れ難く何度も食べたくなる感じだったのです。
また、フランスでカフェといえばエスプレッソ、クレームといえば蒸気で泡立てたミルクをエスプレッソに混ぜたもの、そしてカフェ・オ・レが定番になりますが、ウィーンではホイッブクリームが乗っているものが多いのです。 そのホイップクリームは、ザッハートルテにもついているのですが、しつこさと甘さがなくコクだけを加える役目で、トータルに調和がとれるように上手く考えられています。
例えばアイスコーヒー、日本でアイスコーヒーにバニラアイスクリームとホイップクリームがついている事はありませんが、ウィーンではアイスコーヒーを頼むと必ずこのバニラアイスクリームとホイップクリームがたっぷりついてきて、でもそれが甘すぎず、調和がとれていてとても満足感があるのです。 コーヒーを冷やすのではなく、コーヒ自体をエスプレッソのしっかりとした味にして、冷やす役割はアイスクリーム、そしてホイップクリームで味をなめらかにする、とはよく考えられています。 私のようなエスプレッソ好きは、しっかりとしたコーヒーの風味が感じられないと満足できないので、ダブルエスプレッソを使うアイスコーヒーはとても良いと思いました。
アインシュペンナーは、ダブルエスプレッソにホイップクリーム
フィアカーは、ダブルエスプレッソにキルシュワッサーとホイップクリーム
マリア・テレジアは、ダブルエスプレッソにオレンジリキュールとホイップクリーム
フランツィスカーナーは、コーヒーと泡立てたミルク半々のメランジェにホイップクリーム
メランジェは、コーヒーに泡立てたミルク
ブラウナーは、エスプレッソにたっぷりの生クリーム
アイスコーヒーは、アイスクリームとホイップクリーム
・・・と種類がたくさんあるコーヒーを書き出すと、ホイップクリームがのせたものが多いのが分かります。
ウィーンのスーパーで朝食時に買ってきた牛乳を飲みましたが、牛乳もミルキーな感じで日本やパリとは違う感じでした。
コクを加えるだけの役割のホイップクリーム、というのは初めてで、ウィーンで頂くその美味しさは発見でした。
それに、カフェの雰囲気も調度品や広さや色などがシックで優雅なのが特徴です。
優雅、というのも王室があったからかもしれません。優雅な雰囲気というのも歴史のあるウィーンならではのカフェの魅力なのです。
パリでも食文化の豊かさを感じますが、ウィーンも食事やお菓子が美味しく食文化の豊かさを感じました。
食文化が豊かとは、つまり芸術を愛する国の特徴ではないでしょうか。
ホーフブルク王宮の中にあるカフェでは静かにくつろぐ
人達が。
ゆったりとした優雅な時が流れているのを感じました
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これは、ホーフブルク王宮カフェのアイスコーヒー マナーのウェハースがついています |
本家本元のザッハートルテのあるホテル・ザッハーのカフェ
深い赤がシックで豪華になりすぎず適度なのが品があります 中央に皇妃エリザベートのシシィの肖像画が |
ホテル・ザッハーのアインシュペンナー |
先にもアップしたホテル・ザッハーのザッハートルテ どれよりも一番印象的で、バランスが良く衝撃的な 美味しさでした |
美術史博物館KHMのカフェは回廊にあります
ここの空間も驚きでした(先にアップあり)
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美術史博物館のアインシュペンナー 同じものでもカフェによって違った趣 があります |
入りませんでしたが、ベルヴェデーレ宮殿のカフェ |
オーバーラー・シュタットハウスの
フランツィスカーナー(右)
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マナーのウエハースのショーウインドゥ
ここのウエハースはレモン味がお気に入り になりました |
先にアップしていない写真から↓
「ブリストル ラウンジ
」
ホテル・ブリストルのコンシェルジュ室 風格があります |
バーもあります |
ブリストル・ラウンジでは食事の他にカフェやスイーツも頂けます |
食事をする人達を見ながら、広いソファーでゆったりと。 ラウンジは広々として優雅な雰囲気です |
暖炉の上の装飾 |
バーカウンターやソファーや壁・床など茶系で
まとめられて落ち着いた雰囲気ですが
照明が効果的で華やかさもあります
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これは泡立てたミルク付きのエスプレッソ |
ブリストル・ラウンジのザッハートルテ |
向こうの飲み物はコーヒーに泡立てたミルクのメランジェ |
1 件のコメント:
文化遺産の継承と革新が常にありそれを大切にしている国は
美食についても同じ事が言えると思います。
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